化学の世界は量子力学の原理・とりわけシュレーディンガーにより1926年に発表された方程式によって支配されている考えられています。この式が解ける水素原子の電子状態は、この式によってきわめて正確に計算することができ、その結果は実験結果をほぼ正確に再現します。従っていろいろな化学現象についてこの方程式を正確に解くことができれば、それを実験によることなく理論と計算機によって正しく予測したり設計したりすることが可能になるはずです。そのためシュレーディンガー方程式の一般解法の発見は多くの理論家の夢であり、70年余にわたってさまざまな試みがなされましたが、一般的でかつ正確な方法は見つからずむしろそれは不可能とすら考えられていました。しかし、当研究所の中辻は2000年からこの問題に取り組み2004年に初めてその一般解法を発見しました。その理論は自由完員関数理論・Free Complement Theoryと呼ばれています。この理論によってヘリウムのexact energyが40桁も正確に求められたり、Li2という小さな分子の価電子状態のポテンシャル曲線を計算すると実験のポテンシャル曲線をことごとく再現するなど、その正確さはほぼ完ぺきで、神の方程式を解いているかのようです。現在、この理論をいろいろな分子のいろいろな電子状態に比較的簡単に応用できる一般理論を成功裏に開発しています。 |
機関誌「量子の世界」20号記念号(2024年秋号)を発刊しました。 |
中辻 博 研究所長がISTCP 2024でPlenary Lecture 中辻 博 研究所長が、中国青島で2024年10月13-18日に開催された11th ISTCP 2024でPlenary Lectureをおこない、シュレーディンガー方程式を正確に解く理論であるexact theoryを静電力理論やSAC-CI理論と結合し拡張した新しい理論を発表し、大きな反響を得ました。その理論の有用性は、N2やCO・ベンゼン・ピリジン・ポルフィンなどの分子の基底状態や励起状態のきわめて正確な電子状態と構造に関する計算結果により示されました。 |
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